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第14話 ズル

Auteur: 山雨 鉄平
last update Date de publication: 2025-05-03 00:25:55
「志良堂《しらどう》レミッキ。日本での歌手としての活動名は、レミですね」

「うぎゃー‼」

当然一人で茂みに隠れているものと思い込んでいた突然横から梅ケ谷知《さとる》に声を掛けられ、思わず叫び声を上げてしまった。よく見ると、梅ケ谷は両手に木の枝の模型を持っている。茂みの一部に紛れているつもりらしい。

(擬態…? この人こんなキャラだったのかしら)

「Lemmikki(レミッキ、またはレンミッキ)という名前からおそらくフィンランド生まれ。戸籍上は、キリスト教系の孤児院、ちちぶ子ども未来園の園長・志良堂|美洸《みひろ》の養子ということになっています。高校卒業後、18歳で上京。ネットを中心に歌手活動を開始、今に至るわけですが、まさか裏社会で『死神』と呼ばれるスナイパーの正体が彼女だったとは…」

「あ、あの~ 梅ケ谷さん、どうしてここに?秘書業務は大丈夫なので…?」

「ご心配なく。今日の分の仕事はとっくに終わらせてありますので。あの龍は放っておくと何をしでかすか分かりませんから、心配で付いてきました」

「はあ…」

「そんなことより、始まりますよ。九頭龍の久しぶりの戦いが」

「…」

そう言う梅ケ谷
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    「志良堂《しらどう》レミッキ。日本での歌手としての活動名は、レミですね」「うぎゃー‼」当然一人で茂みに隠れているものと思い込んでいた突然横から梅ケ谷知《さとる》に声を掛けられ、思わず叫び声を上げてしまった。よく見ると、梅ケ谷は両手に木の枝の模型を持っている。茂みの一部に紛れているつもりらしい。(擬態…? この人こんなキャラだったのかしら)「Lemmikki(レミッキ、またはレンミッキ)という名前からおそらくフィンランド生まれ。戸籍上は、キリスト教系の孤児院、ちちぶ子ども未来園の園長・志良堂|美洸《みひろ》の養子ということになっています。高校卒業後、18歳で上京。ネットを中心に歌手活動を開始、今に至るわけですが、まさか裏社会で『死神』と呼ばれるスナイパーの正体が彼女だったとは…」「あ、あの~ 梅ケ谷さん、どうしてここに?秘書業務は大丈夫なので…?」「ご心配なく。今日の分の仕事はとっくに終わらせてありますので。あの龍は放っておくと何をしでかすか分かりませんから、心配で付いてきました」「はあ…」「そんなことより、始まりますよ。九頭龍の久しぶりの戦いが」「…」そう言う梅ケ谷の表情から読み取れたわけでも、声の調子からそう感じられたわけでもない。だが、七海には何となく感じるところがあった。(なんだか嬉しそうね、梅ケ谷さん)♦さて、七海と梅ケ谷の視線の先で。「…もう、遠慮なくいくわよ」レミッキはスナイパーライフルを構え直した。「おう、レミとか言うたの。いざ尋常に…」パァン!九頭龍凛太郎が言い終わる前に、レミッキは銃弾を放つ。 が、それはトカゲのような鱗で覆われ鋭い爪のある形へと一瞬のうちに変貌した、凛太郎の手によって難なくキャッチされてしまった。江島めぐみ狙撃(二撃目)の時と全く同じである。「まーったく、せっかく武士道をわきまえた女子《おなご》じゃと思うとったのに。南蛮にも騎士道精神というのがあるんじゃろが…」言いながら、九頭龍は掴《つか》んだ銃弾をポイッと投げ捨てた。「儂には銃なんぞ効かんぞ。諦《あきら》めて降参せい」「やっぱり、そうよね…  こちらも時間があったからね。対策させてもらったわ」ちょうど弾を撃ち終わったレミッキは、ジャキンという音を立てて弾倉《マガジン》を交換すると、ガチャリとハンドルを引いてから再び戻した。パァ

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  • 告白してきた職場の後輩が、クズではなく『クズ様』だったので困っています。   第12話 訪問

     某日13時、東京都庁。白いコートに身を包んだ人物が、警護役であろう屈強そうな職員のエスコートを受けて、都庁最深部の知事執務室に通される。フードを目深に被った顔は、依然としてよく見えない。「時間ピッタリですね… 都庁へようこそ。直接お会いするのは初めてですね」猛追する江島めぐみ候補を振り切り二期目への当選を果たした尾池百合絵都知事が、執務室最奥のデスクから形ばかりの歓迎の挨拶をする。「死神さん、とお呼びすればいいのかしら?」書類仕事をつづけながら、目も来訪者の方を向けようとしない。「…」白コートの来訪者は無言のままである。尾池は続ける。「先生とケイトさんから、成功率100%の腕前だって聞いていたので、安心してお任せしたのですけど。私の聞き間違いだったのかしら」「…」「新宿駅の演説の後でも、いくらでも仕留めるチャンスはあったはずでしょ?あの女が世界の調和にとって邪魔になることは分かっているはず… 組織票で勝てたからよかったものの、とっても肝が冷えましたわ」「…」「だんまりですか。あまりおしゃべりはお好きでないようね。いいわ。どのみち約束は成功報酬のはずです。お支払いするお金はありませんので。お引き取り下さい」『死神』と呼ばれた白コートの人物は、ついに一言も発しないまま執務室を後にした。(ケイトのやつ…)成功報酬だという話は、今日初めて聞いた。♦ ♦ ♦同じ日の正午。「…と、いうわけで、今回は心臓の病気と闘う、同じ孤児院の後輩・光君との、2回目の動画でした~。またね!…はい、カット!ありがと、光君!」新宿総合病院の阿賀川光の病室で、18歳くらいの白人の女の子が美しい金髪をなびかせながら、自分で構えたスマホカメラに向かって手を振る。ネットで人気上昇中の歌い手・レミが、光への2回目の見舞いに訪れていたのだ。病室で動画撮影とは怪しからん、との声もあろうが、担当医の乗本が理解があり、「拡張型心筋症と闘う子どもたちの情報拡散になりますし、光君の気晴らしにもなるでしょうから」とのことで、短時間の動画撮影はOKが出ている。それにしても、光とレミは随分と仲良く話すようになった。恐るべきは光の人たらしの力である。「こっちこそありがとう。えへへ、なんか夢みたいだなー

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